ドイツ脱原発の源を探るドキュメンタリーシリーズ③
第八の戒律
ヴァッカースドルフ再処理工場の建設は中止された。鉄柵は解体された。
しかし根本的解決とは言えない。核廃棄物は残る。
カメラは世界中から核廃棄物が持ち込まれるフランスのラ・アーグ、
イギリスのセラフィールドへ向かう。そこで見たものは、
放射能が何十年も海に垂れ流されてきた事実。
しかも今、放射能は海岸に戻ってきて、じわじわと生命を蝕んでいるのだ。
原子力産業を推進してきた科学者、政治家、経営者は、この50年間何をしてきたのか。
数字による操作、明らかな嘘、情報の独占、「証拠がない」と開き直り・・・
彼らのやり方と言葉はなぜ国を超えてこんなにも似ているのか。
破滅に向かう世界? その謎を解くカギがここにある。
核廃棄物の行方を追って、ドイツ、フランス、イギリスの再処理工場を取り上げ、
核実験からスリーマイル、チェルノブイリまでを俯瞰し、原子力利用・科学技術の歴史と意味を問う。
「第八の戒律」とはモーセ十戒の一つ 「偽りの証言をするな」の意味。
1991年/ドイツ/95分/監督:ベルトラム・フェアハーク&クラウス・シュ トリーゲル
制作:デンクマール・フィルム
目次
自主上映会
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監督インタビュー
ベルトラム・フェアハークとクラウス・シュトリーゲルは、1987年から『核分裂過程』、『故郷のために ギートルさんたたかう』など原子力と再処理工場をテーマに何本かの映画を制作、そして1991年『第八の戒律』を発表しました。
●なぜ、原子力のテーマに焦点を当て続けているのですか?
ベルトラム・フェアハーク:おそらく私達の映画『核分裂過程』はヴァッカースドルフ再処理工場の建設を中止させることに貢献しただろうと思います。もちろんこの事は大変嬉しい。しかしこれにより私達は、どんなに巨大な企みが画策されているかを明らかにしたいという思いに駆られました。
『第八の戒律』は原子力四〇年の歴史を描こうという試みです。これらは実は民主主義についての、共に生きる方法についての作品です。実際、私達の作品の全てはその問題を問うているのです。現実の例を用いて、人々がどんなふうに気付いていくのか、どんなふうに政治に関する考え方を変えていくのか表したかった。これはおかしい、という事にあるとき突然気付いた人々の事を表したかったのです。
●『第八の戒律』は5つの国の例を引いていますが ―
ベルトラム・フェアハーク:ドイツからイギリス、フランスへと問題が移し換えられた事を明らかにしています。ヴァッカースドルフ再処理工場が断念された後、使用済み核燃料はフランスで再処理される事になったのです。再処理はより多くの有害物質を生み出す。この問題は今までのところ、どんな解決法も見出されずに来たのです。
ドイツであれフランスであれ、合州国やソ連であれ、どこでも同じ嘘が言われています。
それは明白な嘘であるばかりでなく、全く当たり障りのない日常茶飯事のように印象づけられた嘘でもあるし、また、「全く何も言わない」という嘘でもある。
制作したデンクマール・フィルム DENKmal-Film とは
1977年、ベルトラム・フェアハークとクラウス・シュトリーゲルによって設立されたドイツ・ミュンヘンにある映画製作会社。原子力と民主主義を問う『核分裂過程』(1987年)をはじめ、政治、環境、科学技術から人権問題まで、幅広いテーマでドキュメンタリー映画を制作してきました。近年はそれぞれ独立して、ベルトラム・フェアハークは遺伝子組換えと農業、クラウス・シュトリーゲルは、移民、労働などをテーマにした映画に力を注いでいます。
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「第八の戒律」内容構成
[/su_spoiler](映画のラストに登場する)哲学者ギュンター・アンダースについて
哲学者、作家。1902年生まれ。原子力に関する著作が多い。1958年広島訪問。原爆を投下した米軍パイロットとの文通を長い間続ける。
著書『われらみな、アイヒマンの息子』『いたるところ広島』『時代おくれの人間』『核の脅威』など。日本でも多くの翻訳がなされ、特に福島原発事故のあと注目されている。映画出演の翌年1992年死去。